彼の相続の場合、頭痛は懊脳を伝えるシグナルである。
「頭痛の種」という形容ではない。
いくつかの種は、彼の頭のなかをたちまち患部にする。
心理的要因によるものであることは自分でわかっている、精神科医との五分程度の会話を済ませた後に処方された向精神薬を試してみたが、副作用ばかりで肝心の効果は見られなかった。
喉がひりつくような乾きと湿疹が、さらに彼を悩ますこととなった。
顔は火傷のようにただれ、陰部にまで症状が現れたため、禁欲まで強いられる羽目になったのだ。

そんな経緯もあり、結局は市販の鎮痛剤に落ち着いた。
今となっては妻以外の話し相手もない彼にとって、一番の友ともいえる存在で、いつも寄り添い、どこに出掛けるにも一緒だ。
今夜も酷い頭痛で、布団に入ってから二時間経っても眠れず、友の力を借りることにした。

薬にしては大きめの錠剤が、胃袋で溶け出すのを感じる。
次第に頭痛もひいてくる。
じっと目を閉じて、「種」を整理してみる。